「俺、わざとあんなふうに言った。でも、こんなふうになるなんて思ってなかった。……亜希を傷つけるつもりはなかったんだよ」
慶ちゃん先輩がなんのことを言っているのかわからない。
だって、こうなったのは、私が悪いんだよ。
アドレスを知ることもできて、近くに行けたかなって思ったけど。
手で触れそうなところに佐伯先輩はいたけど。
ぜんぜん近くになんかなってなかった。
まだすごく遠くにいたんだってことを、思い知ったんだ。
「でも」
慶ちゃん先輩は力強く言葉を区切った。
「俺、これでよかったと思ってるから。恭也をお前に近づけたくない。傷つける形になったのは悪かったけど、俺は後悔してねえから」



