体育館12:25~私のみる景色~


「泣き止んだか?」


 涙がひいてきた頃、慶ちゃん先輩が私の頭をなでながら優しく尋ねてきた。


「ん、大丈夫。ごめんね? 慶ちゃん先輩まで遅刻だね」


 口元に笑みを浮かべたつもりだけど、うまく笑えてたのかはわからないや。


「あー、笑おうとしなくていいから。とりあえず、聞きたいんだけど。お前は恭也が好きなんだよな……?」


 こくん、と無言でうなづいた。


「あは、バレちゃったなあ。なんか、カッコ悪いね? 佐伯先輩に嫌われる瞬間見られるとか」


 乾いた笑いがもれるけど、私の言葉を聞いた慶ちゃん先輩の方がきっと、私より傷ついた顔をしてる。


「慶ちゃん先輩まで、そんなに傷つかなくても……」


「違うんだ。俺、マジで最悪……」


 私の言葉をさえぎって、慶ちゃん先輩は力なくうなだれた。