「佐伯先輩……? あ、の。理由はですね」
なかなか言えずにいると、佐伯先輩以上に不機嫌そうな顔の慶ちゃん先輩が助けてくれた。
「亜希は、俺を見てたんだよな? ……今までずっと、そこで」
なんだかこれ、私が慶ちゃん先輩を好きだって、佐伯先輩に勘違いされそうじゃない!?
そう思うけど、否定したらほんとのことを問いただされそうだし。
「あ、あは。そうなんですよー……」
私は、棒読みでこう言うしかなかったんだ。
すると佐伯先輩は力なく腕をおろした。
私の手は自由になったけど、もう少しあのままでいたかったな。
そっと、佐伯先輩の手が触れたところをなでると、私の耳にすごく冷たい声が飛び込んできた。
「……あっそう。そうだったんだ? 俺には関係ないことだし、別にどうでもいいけど」
冷たい目で私を見てる。
無表情なのとは違う、色のない目だった。
佐伯先輩からまさかそんなことを言われるなんて思ってなかった。



