体育館12:25~私のみる景色~


「佐伯先輩……? あ、の。理由はですね」


 なかなか言えずにいると、佐伯先輩以上に不機嫌そうな顔の慶ちゃん先輩が助けてくれた。


「亜希は、俺を見てたんだよな? ……今までずっと、そこで」


 なんだかこれ、私が慶ちゃん先輩を好きだって、佐伯先輩に勘違いされそうじゃない!?


 そう思うけど、否定したらほんとのことを問いただされそうだし。


「あ、あは。そうなんですよー……」


 私は、棒読みでこう言うしかなかったんだ。


 すると佐伯先輩は力なく腕をおろした。


 私の手は自由になったけど、もう少しあのままでいたかったな。


 そっと、佐伯先輩の手が触れたところをなでると、私の耳にすごく冷たい声が飛び込んできた。


「……あっそう。そうだったんだ? 俺には関係ないことだし、別にどうでもいいけど」


 冷たい目で私を見てる。


 無表情なのとは違う、色のない目だった。


 佐伯先輩からまさかそんなことを言われるなんて思ってなかった。