体育館12:25~私のみる景色~


「何言ってんの! あのね、今はぜんっぜん人いないけどちょっと経てばここ、女の子で溢れ返っちゃうんだからね!? 佐伯先輩をベストポジションで見るためには、こんくらい早く来ないとダメなのっ!」


「へ、へえ~……」


 すごい勢いで熱弁した私に、涼はひきつった笑みを浮かべてる。


 涼は初めて見るからわからないだろうけど、ちょっと動いただけで隣りの人にぶつかっちゃうくらい、いっぱい女の子が見に来るんだからっ。


 鼻息を荒くしているうちに、先輩たちはバスケを始めちゃってた。


 今日はなんだか、みんなの目つきが違う。


 佐伯先輩も本気でプレーしてるみたい。


「あ、今バスケやってるのって、全員バスケ部じゃない?」


 涼がそう言うけど、私はわかんないや。


 佐伯先輩にしか興味なかったから、ほかの人のことはまったく知らない。


「ん~、そうなんだ? あ、でも、中原先輩はバスケ上手だけど、部員じゃないよ?」


 メールでは“慶ちゃん先輩”なんて呼んでるけど、それ以外では名字呼びするってことにしてる。


 だって、万が一慶ちゃん先輩のファンに聞かれたりしたら、まずいし。