体育館12:25~私のみる景色~


「あ、いや、なんでもないですっ! そう、ホコリ! ホコリが目に入っただけなんですっ」


 泣くつもりはなかったんだけどね、佐伯先輩の言葉に驚いて思わずね?


 涙をふくために、手でゴシゴシと目をこすった。


「ほこり? つーか、そんなこすったら赤くなるでしょ。見して」


 佐伯先輩が突然目の前に来て、私の目を覗き込んだ。


 近い、近すぎるんだけどっ!


「え、先輩、ほんと大丈夫なので……っ」


 両手で目を隠しながら断るけど。


「はいはい。いいからじっとしてて」


 佐伯先輩、全然ひいてくれないよ~。


 佐伯先輩の大きなあたたかい手が、私の手首に触れてビクッとした。


 目を覆っていた手を優しくどかされて、またじっと見つめられる。