「……聞いてなかった? オイ、慶。お前宮下さんに何もしてないよな?」
「してねーよ! ……たぶんな」
「絶対なんかしたろ。ていうか宮下さん、もしかしてトリップ中?」
ぼーっとそんなことを考えていたら、ほっぺに何か冷たいものが触れた。
「ひゃっ……!」
いけない、いけない。
また自分の世界に旅立ってたよ。
それにしても、なんでだろう。
吐息がかかりそうなくらいの場所に、佐伯先輩の顔がある。
それに、頬に感じるゴツゴツとした男らしい肌の感触は、もしかして。
「……ッ!!」
私に触れている手が佐伯先輩のものだと理解したとたん、身体中の血液が沸騰したような感覚におそわれた。



