「夢じゃ…なかった」


眩しい太陽の光で目が覚め、重たい体を起こし部屋の中を見渡し落胆する。

テレビの前に置かれたままのゲーム機、テーブルの上に残された飲みかけのジュースのコップ、それと食べかけのバームクーヘン。

綺麗に片付けられる筈だった物達を見れば、夜中の事が夢ではなかったと思い知らされた。

ベッドから起き上がり机に向かい、机の下からプレゼントの入った紙袋を持ち、由希はまたベッドに戻り腰かける。

渡す筈だった凌空への誕生日プレゼントを見つめ、由希は溜め息を吐いた。

カーテンが閉められていない窓から見える凌空の部屋を見て、持っているプレゼントを交互に見る。

カーテンが閉められたままの凌空の部屋に、まだ寝ているのかと由希は思う。

小さい頃からお互いの窓から行き来していた由希達。

由希も窓から凌空の部屋へと行こうと考えたが、窓の鍵が閉められている可能性があると思い、朝ご飯を食べて玄関から入れば確実だと思いつく。

早速由希はコップと皿を手に部屋を出て階段を降りて行った。