母親は文句を言いながら、父親と車に乗り込んだ。


走り出した車をぼんやりと眺める。


笑える…。


あれが親なんてさ…。


「美桜…」


すると突然天翔に抱き締められた。


「天翔…ごめっ…」


「気にすんな」


あたしの心境をすべて察したような天翔の言葉。


天翔はあたしの涙を拭いながら呟いた。


「…俺の隣にいるか?」


不安そうな瞳。


これからどんな困難が待っているかわからない。


もしかしたら、辛いことの方が多いかもしれない。


それでもあたしは…―。


「うん。ずっと隣にいる」