季節は梅雨真っ只中。


あたしが最も嫌いな季節…。


理由は天気がスッキリしないのと、雷が鳴るから…。


そんなスッキリしない天気の中、あたしは玄関で天翔を待っていた。


雨降りそうだな…。


空を見上げ、フゥとため息をつく。


「幸せ逃げるよ?」


「キャッ…」


いきなり後ろから抱き締められ、耳元で囁かれたあたしは、小さく悲鳴をあげる。


「もうっ…天翔!! 学校でくっつくな!」


「いいじゃん?」


人が見てるっつーの…。


女子の視線が痛いくらいに刺さる。


でも、前ほどは気にならなくなった。