今まで散々あたしの心を読んだ創。

ちょっとだけ、ザマアミロ、と思ったのは秘密だけど。


顔面蒼白のままの創を教室から引っ張り出し、屋上へ続く階段の踊り場まで連れてきた。

あのままにしていたら、"アッチ"の世界のことがばれてしまいそうだから。




「本当に読めないの?」

「おう…なんか、ロックされてるみたいで全然読めない…。読もうとしても、雑音ばかり入ってくる」

「ロック…?雑念もあたし特にないけどなー」

「違う…多分、魔物だ…」

「え…」



「天界人、いや、四神に対抗できる魔物…相当強いかも。


最近、なんか怖いこととか怪しいこととかあった?」


ストーカーかな、とも思ったけど、ストーカーと魔物なんて、到底一緒だとは思えなくて。



「な、なんにも!!」

と答えてしまった。



創は、俺への宣戦布告か、とか、絶対祓ってやる、とか一人でブツブツ言っていた。


魔物は、日本の妖怪の姿をしているって聞いた。

つまり、今までにあたしに妖怪が近づいて心のロックをかけたってこと…。



ゾワァァァアアア…



鳥肌が立ったけれど、創は思案にふけってこちらには気づかなかった。