「めーーーーーーーん!!!」

パーンッ

大きな音が道場内に響く。




「まだまだだね、大樹」

「うるせぇよ、ねーちゃんは。剣道ばっかやってると、モテないかんな!」

むかつく、マセガキー…

「ほっとけ!!ばーかばーか!!」

いーっだ!!



剣道ではナヨナヨしてて、あたしに勝ったことがない大樹。


なのに、あたしよりモテている。


…男は腕っぷしでしょ!!



でも、あたしはもう…


「彼氏なんて、いらな「ねぇ」

「っ!何よ創!」

突然の創の登場に、あたしは過剰に驚いてしまった。

「そんなビビんなって」

ケラケラ笑う創。でもやっぱりその笑顔には違和感を覚えた。




最近やっと創との生活にも慣れ、創のことを認めつつあった。


「…で、要件は何?まだ道場閉めてないんだけど?」


門下生はまだ沢山いた。

パパがいない間は、私が剣道を教えている。


「ねぇ、薫子さ、俺と勝負しない?」


「勝負?剣道の?」


「そ!…勝った方は、何でも言うこと聞いてもらえる…王道だけど、どう?」


剣道はそういうものじゃないんだけど。

まぁ、いっか(笑)


「いいよ、容赦しないからね?」


「ハハッ…お手柔らかにな?」




ウチにきてから、創は剣道に興味を示さなかった。
ただの下宿人だし、あたしも放っておいていいかな?、なんて思って剣道を進めようともしなかった。

一応創は初心者。

優しく行こう。