「…奏多」
すると、
ずっと俯いたままだった俺の手に、
穂香は手袋を片方だけ着けてくれた。
「え……」
「さっきまで、こっちだけ加藤くんに貸してたんだ…
……ごめんなさい」
「なんで穂香が謝んだよ」
「加藤くんと、手…繋いで帰ってきちゃったから…」
……マジかよ…。
アイツ……だいぶ攻めてんじゃん…。
「ごめん……でも、
加藤くんが好きとか、そんなんじゃないから…」
「……うん」
「…………ごめん」
「だから、なんで謝…る……」
穂香の顔を見つめれば、
穂香の瞳がとても潤んでいることに気付いた。



