小さく口にした、目の前のやつの名前。
たった一言なのに、とてつもなく声が震えた。
「覚えててくれたんだ?」
祐介から放たれる言葉は、どこか刺があって。
祐介の目を、見ることが出来なかった。
やっぱりコイツは……
俺を、恨んでる。
「残念だなぁ…
奏多とはもっと、刺激的な再会をしたかったなぁ」
「どういう意味…」
「たとえば…」
すると、いきなり祐介が俺に近づいてきて
ネクタイをグッと引っ張った。
そしてそのまま、俺と至近距離になると、
「穂香ちゃんを奪ってから…とかね」
その瞳は冷たいまま、
口角をわずかに上げて、穂香には聞こえないくらいの声でそう言った。
それと共に、嫌な動悸がしだす。
こんなとこで……なに祐介にビビってる。
悪いのは俺。そんなの、わかってるだろ。



