「あ、始まる」
赤くなってるのを隠してくれるかのように、照明が消えていく。
その瞬間、奏多は
暗くて見えないからか、
私の存在を確かめるかのように、ぎゅうっと手を強く握った。
……まだ、映画始まってないのに…
ドキドキが、治まらないじゃんか…。
そんなまま、映画も始まって、
スクリーンに釘付けになる。
奏多と手を繋いでるドキドキと、恋愛映画のドキドキが混ざってる。
そしてラストのシーン。
『あたし…離れたくない…!!』
すれ違って、お互いが我慢し続けた結果。
主人公の女の子が、本音をこぼすシーン。
その時、私たちのことを思い出してしまった。
……私、わがままだったよね。
『でもお前が…
お前が、オレがあげた指輪を他のヤツにやるから悪いんだろ!』
ホント、それは最低。
男の子が、プレゼントした指輪を、
主人公の女の子は、ライバルの女の子にあげちゃったんだ。
理由は、『私には相応しくないから』、だって。
ホント……私みたいで、共感しすぎて涙ぐんできちゃった。



