一人で百面相してる私をよそに、
奏多は電話を続ける。
「え、本気で言ってんの?
や、でも俺彼女いるし…」
っていうか、何どもってんの?
アンタ告白され慣れてるでしょーが!
ハッキリしないと、また期待させちゃうんじゃないの?
「え…と、ごめん…
俺は舞ちゃんのこと、そんな風に見てないし…
あ、でも気持ちは嬉しいから!」
もしかして奏多って、中学の時もこんな風に告白断ってきたのかな?
あ、だから『奏多うざい』って言う子がいなかったのかも?
やんわり断っちゃって。断られてるってこと、わかってなかったらどうすんのよ。
「や、別にホント、迷惑とかじゃないから!
でもまぁ…付き合うとかは、たぶん一生無理だから。
申し訳ないけどさ、
俺、穂香じゃなきゃダメだから…」
そこまで言ったとこで、
奏多は私を見た。
「目の前にいるだけで、触れたいって思うんだ。
どうしようもなく、愛しくて仕方ないんだ。
だからごめんね。
じゃあ、切るから」



