「けど、何?」
首を傾げて問いかけると、
穂香はぷいっと俺から顔を背けて、
「……私ばっか見られてるの、不公平…」
拗ねたように、そう言った。
私ばっかって……
今回だけじゃんか。
「なんだよ、1回くらい大したことないだろ?」
「1回じゃない!
……だって…前に胃腸風邪になった時だって…
…………奏多、いたんでしょ?」
あぁ、あの時な。
「いたよ。
お前の寝顔も見たし、甘えてくるのも見たし、
キスだってしたし……あ」
あれ、俺、
今までキスしたこと言ってなくね!?
「……え?
キス……?」
「あ…えと、違…くはないんだけど…」
「あの時ってまだ、付き合ってないよね…?」
「……うん」
「……私、そんな頃から奏多とキスしてたの?」
「く、薬飲ませるために、仕方なくだ!!
別にその……無理矢理っていうか…
欲のままにとかじゃ、ないから!」



