「嘘、真っ赤。」
ニヤニヤしながら近付いてくる奏多に対し、
私は一歩一歩と後退りした。
「何逃げてんの」
「や、えと…」
自分の胸を押さえながら、まだ後退っていると、
トンッと背中に固いものがぶつかった。
「……逃げんなよ」
「……っ」
「てか、もう逃げれないな。」
奏多はフッと笑うと、
片手を、私の顔の横にトンッとついた。
そしてじっと見つめてくる奏多の視線に堪えきれず、
私は両手で顔を隠した。
「なんで隠す?」
「だって……
恥ずかしい顔、してる…」
するとクスッという笑い声が聞こえて。
「どんな顔?」
意地悪なセリフなのに、とても優しい声で奏多は囁いて。
顔を隠していた手を、ぎゅっと握られた。
そのせいで、顔はあらわになってしまって…
「顔あかー。」
「う、うるさいー…っ」



