《穂香SIDE》
うぅ…
今になって自己嫌悪…
あんな酷いこと言って…
もう、奏多に嫌われても仕方ない。
ていうか、もう絶対嫌われた…。
────トントン…
……あれ?
────トントントン…
誰かが階段を上ってくる気配が…
鍵閉めるの忘れてたし…泥棒とかだったら…っ
段々と近付いてくる足音に、ビクビクして、
さっきも泣いたのに、さらに涙が溢れてきた。
「こ、怖い…
かな、奏多……っ」
「穂香?」
咄嗟に出た名前に反応したのは、
まさに、奏多の声で。
家に入ってきたのは奏多だったんだと、しばらくしてから理解した。