「おつかれさま!」と彼にメールを送った。

1分経っても返信が無い。


「もしかしてまだ終わってないの?」ともう一度メールを送ってみた。

仕事が忙しいって言う彼の望み通りに、私から会いに行く為に。


「いつ終わるの?」

まだ彼からは返信が無い。


「もしもーし!」

前にSNSを更新してるのにも関わらず、私へのメールの返信を忘れてたことがあった。

うっかりだったって。


「おーい!」

寝る前に電話し忘れて寝てしまった時も。
私を騙して会社の飲み会に行ったことも。
仕事のことだって話してくれないことも。

全部ぜーんぶ許してあげたのに。


「無視なの?」

放置されるのは好きじゃないどころか大嫌い。
私は彼を愛してるからこそ彼に合わせようとしてるのに。
私ばっかり我慢して彼は何故私に合わせてくれないの。


「わざとスルーして焦らしてるの?」

二の矢三の矢を放つけど、SNSの更新も無ければ本命であるメールの返信も全く無い。


「なんで返信してくれないの?」

私を愛してるならいくら仕事が忙しくたってメールの返信ぐらい出来るよね。
ってゆーか、するべきでしょ。


「私のこと嫌いになったの?」

まさかまさか。
不安で不安で堪らない。
彼の口から愛してるって聞きたい。
目の前で抱き締めて納得させて。
私を満足させてよ。


「一体何をしてるの?」

彼の友達は全員把握してる。
だからもれなく連絡したけど誰も彼も知らないって言ってる。


私をこれだけ不安にさせておいて、友達にまで迷惑をかけるなんて。
彼の理不尽な自己中っぷりに怒りで倒れそうだわ。


「誰かと一緒にいるんでしょ?」

私に内緒で彼が誰かと会ってるなんて、恐怖心を煽って背筋を凍らせるだけの稚拙なホラー映画でしかない。


「誰と一緒にいるの?」

指し示してるのは私の知らない場所。
GPSじゃやっぱり駄目だったみたい。

私のモノだってことを重々認めさせて、
私を裏切ったことを後悔なんて生ぬるい。
謝罪と土下座とプレゼントだけじゃ気なんて済まないから。

私が監視してちゃんと彼を管理しなくちゃ。



「浮気は許さない」

絶対に許さない。


「今から行くから」

絶対に逃がさない。



ビードロには卯の花腐し。
忌みに意味など愚蒙だわ。

気位が高い私が被った鞠問の正解はたった一つしかない。