出会いは最悪だったね。


私の親友を疑ってさ。


まっ、解決して、犯人も逮捕されたからよしとしよう。




母が病死した後、品行方正だった父が、酒に溺れネグレクトなって、施設に押し込まれた。




だけど、家に帰りたかったな。




そんな子供の私にはどうにもできない最中、父は事件に巻き込まれて入院してしまった。


貴方達は父を悪く言うけれど、入院中の世話だってするし、散らかった家も片付けるよ。


たとえ、気に入らないからって持っていった着替えを投げつけられても。


私は父が好きだから。





だから、私、貴方が止めてくれなかったら、



あいつを、

父を傷付けた犯人を、



この世から消してしまったかもしれない。




貴方の怒鳴り声と包み込まれた手と、


粉々に砕け散って散乱した破片は、


私達を再び繋げてくれたね。




あれから数年、父との中はすっかり良くなった。


まあ、貴方との関係はまだまだ最悪の真っ只中だったね。




そんな時、事件は起こってしまった。



出かける時、車の鍵を忘れたと取りに戻った父の戻りが遅い。

嫌な予感なんて全く無くて、手間取っているだけだなんて呑気に。



倒れている父に思わず駆け寄って、頭に鈍い感触を受けた時、霞む視界に事の重大さに気付いたんだ。



念の為の入院だって、全然実感がわかなくて。


声が出せなくなっても手話があるし、逆に貴方達の役に立てなくて悔しいなんて笑った。




けど、貴方には分かったのかな?っていうか、私は分かりやすかっただけかな?



差し入れを片手に現れて、泣きたい時は泣けなんて。



音も無く泣いた私を、貴方はぶっきらぼうに。




いつでも連絡してこい。


って、置き手紙なんて。





電話番号知らないのに。



全く、貴方達の尽力で事件も解決したし、教えに行きますか。





だけど、無理をしていたのかな。


暗く冷たい部屋に一人。



震える手で、貴方に電話して、でも、すぐに切った。


仕事で忙しいし、夜中の私の電話なんて、きっと貴方は気にも止めない。



迷惑なんて、思われたくないから。






ぼんやり見える貴方に、夢だと分かっていても、




来てくれた。




と言った気がする。





朝、目覚めた時、気付いたよ。




夢じゃなかった、って。