あの花が咲く前に④






空が見える。

詠の手だろうか。

真っ白な手が俺に向かって伸びている。

ただ 俺はその手を握ることはできない。

あまりに綺麗で

この血まみれの手で

その手を汚したくない気がした。

いや 本当は

もうその手を掴む力さえ

残っていないだけなのだが・・・。