「そっ、その声は

 柿木 空斗!」


セリアも驚きが隠せない様子。

そりゃ驚くのも同然だ。

俺みたいな一般市民が

やすやすと自国を抜け出して

他国へと来て

挙句の果て勝手に警備万全の城に

進入しているなんて

誰が考え付くだろう。


「空斗・・・。」


詠が心配そうにつぶやく。


「大丈夫。全部作戦のうち。」


「・・・作戦?」


本当に作戦というものが

あったわけではないのだ。

だが、今はそうでも言わないと

詠が不安になると思って・・・。