あの花が咲く前に④






詠がゆっくりと口を開く。


「あなたは私の心配を

 しているんじゃないでしょ。

 私を人形のように扱って。

 ・・・遊ぶ人形が無いから

 手持ち無沙汰で。

 ただ暇つぶしがしたいだけじゃないの。

 私は出ません。

 この部屋から1歩も。

 ただし 日本に

 帰らせてくれるというのなら

 部屋から出ることを考え直します。」


また しばしの沈黙が続く。