あの花が咲く前に④






詠の冷たい声にセリアは

返す言葉が無いのだろうか。

黙っている。


「・・・詠。

 わがまま言わないでくれ。

 君はそうやって意地を張って

 もう何日その部屋から出てないと

 思ってるんだ。

 どんなに旨いご馳走を運んできても

 メイドや執事を追い払ってしまうし

 このままでは

 君の命も危ない。」


確かに

最後に会ったときに比べて

詠はかなりやせ細っているし

腕なんか折れそうだ。