あの花が咲く前に④






・・・コンコン。

静かにノックの音が鳴り響く。


「詠?起きたのかい?」


セリアの声だ。


「えっ、ええ。」


「どうした?体調でも悪いのかい?

 今日は一緒に花畑に行こう。」


「いいえ。結構よ。

 花は好きじゃないの。」


「なんでだい?

 お母さんの記憶なのに。」


「あなたのせいで嫌いになったのよ。

 もう放っておいてちょうだい。」