桜雨〜散りゆく想い〜

 どこと無く気まずい沈黙が続き、弁当を運ぶ箸も重い。


 そんな沈黙を破り先に口を開いたのは香だった。


 「宮田先生、大切にしなきゃ駄目だよ……?」


 全く思いもしない言葉に僕は箸を止めて香に目をやる。


 「……何?」


 「だから、宮田先生を大切にしてあげなきゃ駄目だよって……」


 あまりに唐突で、僕は返事に窮した。


 別におかしな言葉ではないのかも知れないが、今このタイミングで言う言葉だろうか?