「ん?」


 「遅刻、したら何でも言う事聞くんでしょ?」


 茜は膝の上で頭を反転させると、僕を下から見て言う。


 「あ、覚えてたんだ?」


 「当然!」


 「わかったわかった。で、何してほしい?」


 僕は茜の髪を手櫛でときながら尋ねた。


 髪をとぐ僕の手をそっと握り、一点の曇りもない青空のような瞳で僕を見ながら茜は言った。


 「ずっと側に居て――」