「屋上でいいの?もっと移動教室とか知っておいたほうが良くない?」


 「ううん、大丈夫」


 佐倉さんはそう言って、急かすように僕の背中を押して歩き出した。


 三階にある僕達の教室から屋上まで階段を一階分昇るだけだが、その階段までは20メートル程歩く。


 時間にして一、二分の間に、数え切れない程の視線と小声で何かを囁いているのを聞いた。


 佐倉さんを見てから、僕に視線を送り、再び佐倉さんを見て何やら囁く。