「罰としてトイレ掃除一週間!」


 担任がニヤリと口の端を吊り上げて言った。


 「はぁ……」


 僕は深いため息で返事をしてから頷き、トボトボと自分の席に向かう。

 女の子が桜の中に消えてから、暫く立ち尽くしていた僕はものの見事に遅刻した。

 その代償がこれ……

 席に着いてから、前を見るとやけに嬉しそうな担任の顔が目に入る。

 それもそのはず――


 『遅刻したら何でも一つ言う事を聞いてやる!』


 一ヶ月にも満たない過去に僕が担任に言った台詞。