あまりにも整いすぎて現実離れした顔。天使か――あるいは女神が間違って地上に落ちたのではないかと思う程……


 「そう……貴方は好き?桜――」


 僕が呆気に取られているのをよそに、女の子は桜のようなピンク色をした唇を動かす。


 「うん……」

 「よかった――」


 女の子が呟くと同時に一際強い風が僕たちの間を走り抜ける。

 桜が渦巻くように舞い、僕は腕を上げて顔を覆った。

 そして、再び僕が腕を下ろした時には既に女の子の姿は消えていた。