「ぷっ……なんだそれ?」


 僕はゆっくりと歩いて泣きじゃくる茜を抱き寄せた。


 「だって……嫌だよ――望がいないと嫌だよ……」


 「わかったわかった……」


 香――


 もしも茜に出会うより先に香に会っていても


 やっぱり僕は茜を選んだと思う。


 怒るかな?