次の瞬間、支えていた腕から重さが消えて、僕の腕の中から香は桜の花びらになり舞い散った。


 僕はその場にうずくまり、地面に散らばった桜の花びらをすくい上げる。


 手から溢れた花びらが再び地面に落ちて行く。


 舞っていた花びらが全て地面に落ちて顔を上げた僕は、桜並木にいた。


 『ノンちゃんが見ていたのは過去……』