僕の目の前を桜の花びらが舞って行く。


 「女の子でね……名前は『桜』――」


 花びらは下から舞い上がり、僕の頭上から降り注ぐ。


 やがて花びらが僕たちを包み込んで、視界を全て覆った。


 「ノンちゃん――」


 僕の名前を呼んで、香は微笑みながら言った。


 「言ったでしょ?ノンちゃんが見てるのは『過去』だって――」