学ランならば前を閉めてしまえば中は全く見えないが、ブレザーでは前が隠れず、今の状況ではたいした意味を成さないのだ。


 「学ランなんて着てったら人になんて言われるか――」


 「このまま階段降りて裏口から出れば誰にも会わないって。それとも茜って実は露出の……」


 「あるわけないでしょ!!」


 「冗談だよ冗談、ついでに化粧した方がいいよ」


 茜は頷いてから階段を降りて行く。僕はその後ろ姿に大きな声で言った。