「もー!!びしょ濡れじゃない!どうするのよ!?」


 茜は髪から雫を垂らしながら言う。既に化粧は落ち、ほとんどノーメイク状態だ。


 「ま、仕方ないね。自然の摂理だし」


 「何が自然の摂理よ!望があんな所に居たから私まで濡れたんでしょ!」


 服を着たまま風呂にでも入ったかのような惨状だ。僕はまだジャージに着替えればどうとでもなるが、茜はそうもいかないだろう。


 「黒」