そんな中で一言、けして大きな声ではないが透き通るような声が響いた。


 「やめようよ」


 声の主は隣の席に座る香だった。


 「宮田先生も柏木君も子供じゃないんだから――周りがどうこう言う事じゃないよ。二人の関係を想うのは構わないけど、私は口だしするのは違うと思う……」


 「でも――宮田先生の目、腫れてた……きっと泣いたんだよ?」


 「だからどうするの?仮に柏木君が宮田先生を泣かせたとして、どうするの?」