新街のありとあらゆる闇の部分を、この街は詰め込まれている。 今年来年、今日昨日、と姿を変えていってしまう新街と比べて、暗黒街は不変だ。 去年も一昨年も変わらない。 昨日降ったこんなに雪が白いから、黒さが浮くような気がして落ち着かないけれど。 「南の族が潰された。事故とみせかけて、殺された奴も何人かいる」 前を歩いていた彼の声がする。 きゅ、きゅ、と雪を踏みしめる音。 「弟さんは無事でしたか?」 淡々と聞いた質問に、 「いや、死んだ」 淡々と応えた。