先輩コンビによって助けられた二人は、目をグルグルさせながら「きゅう……」と呻いていた。うん、相変わらず可愛い!



「……おいセリナ、ニヤけてるぞ」


「はッ」



呆れ顔のクリュウに指摘された私は、慌てて顔に手を当てた。


い、いかんいかん。昔っから私、可愛い物が好きなんだよね。ドラゴン姿のクリュウと初めて会った時も、第一声が『可愛い』だったし。


油断するとすぐに緩みそうになる表情筋を頑張って引き締めていると、リタとシェイド君が復帰した。



「サクヤ先輩、リョウ先輩、ありがとうございました!」


「た、助かりました……」



心なしか瞳の潤んだ二人に感謝され、先輩たちの頬が緩む。もちろん私の頬は再びユルユルだ。


ずっと傍観していたアレン達も一緒になってその光景を眺めていると、不意に軽やかな鐘の音が私の耳に届いた。


驚いて顔を上げると、なぜか全員の表情が引き攣っている。


そこで、やっと私はこの鐘の正体を思い出した。


これは――予鈴だ。