【第二章 転機】



■1■



その日、私は夢を見た。


夢の中に出てきたのは、剥き出しになった柱と、辺り一面に飛び散った赤が印象的な、一つの廃村――。



「……また、この夢か」



思わずベッドから飛び起きた私は、滴り落ちる汗を拭いながら小さく舌打ちをしたのだった。



***



今日は、私が学園に来てから初めての休日となる。


最悪な気分で起床した私は、ジャージに着替えると寮の外へ飛び出した。


気分転換代わりに、少し走ろうと思ったのだ。


まだまだ時間もたっぷりあるし、今日はゆっくり過ごそうかな……なんて考えていたら



「……あれ?セリナちゃんだ!おはよー!」



寮の周りを5周ほど走った頃、額に汗を浮かべたユウリ君が声をかけてきた。


ジャージを着ているところを見るに、ユウリ君もどこかで訓練をしていたのだろうか。



「おはよ、ユウリ君」



私は一旦ジョギングを中断すると、ユウリ君のほうへ近付いた。