「あのね、セリナさん。僕は今から、物凄く突飛な事を言うと思うんだ」


「うん」


「だけど僕は、決して気が変になってしまった訳じゃない。それだけは、信じて」


「うん」


「あと申し訳ないけど……僕がこの話をした後、僕に対して余所余所しい態度をしないって誓ってほしいんだ」


「友達に、そんな事する訳ないじゃん」


「本当に?」


「私の命に懸けて誓う」



即答してみせると、アレン君は少し安心したように笑った。


それが嬉しくて、私の頬も自然と緩む。


……けれどすぐに、私の表情は凍りつくことになってしまった。


そのキッカケは、アレン君が切り出した最初の一言。




「それなら……理不尽な問いだとは知りつつ、あえて率直に言わせてもらうけど。


なんで君ではなく、『リタ・エルルージュ』が僕たちの中心にいるんだい?

この乙女ゲームの世界の――『LOVERS HOLIC』の主人公は、確かに君のはずなのに」




――かくして、物語は廻り始める。




【第二章 転機 終】