……この作戦を思いついた時、私が考えたのは



(またクリュウに怒られるなぁ)



という呑気な事だけだった。


実際、クリュウによって意識も《龍玉》も元に戻った後、物凄い剣幕で怒られた。



『俺様は、自分を犠牲にして戦えなんて言ったことねぇぞ!?』



――分かっている。


これでも冒険者ギルドでAランクまで駆け上がった人間だ。仲間を助けるために自らの身を危険にさらすなんて、馬鹿かお人よしのやる事だと知っている。


一番正解なのは、あの場で全員を見捨てて自分だけ逃げる事だった、という事も。


だけど。



『リタ、守るから。私、絶対ぜったい、リタのこと守るから……!』



あの時、リタに言った言葉を違えたくなかった。守りたかった。



――その結果、こんな事になるなんて思っていなかったけれど。



「……失礼します」



『大討伐』から3日後。


クリュウと共に魔法学園に併設された病院を訪れた私は、一つの個室へと入った。


足の向かう先、ベッドの上で眠っているのは――緑色の髪を持った頼りになる委員長。



「アレン君……」