それでもまぁ、俺は二人のお兄ちゃんだし、リーダーな訳だし。

リーダーってのは、二人の身の安全が第一な訳だし。

もっと言えば、こないだ千秋の家に遊びに行った時、千秋んとこのお父さんに、

「こうちゃん、千秋とトモを面倒見てやってくれよ」

なんて言われてるし。

…千秋のお父さんは、一見怖い感じだけど、笑うと目が細くなって、すごく優しい顔になる。

俺は千秋のお父さんが好きだった。

もしかしたら、自分の父親よりも…。

「しょうがない、じゃあ帰るか」

つまんないなー、とか思いつつ、家路に着く。

私情を挟んではいけない。

リーダーは辛いのだ。

三人並んで、明日の事を話しながら歩き出す。

「こうちゃん、明日も遊びに行っていい?」

「いいよ」

千秋の言葉に頷く。

「明日もこうちゃんと一緒だー」

トモも嬉しそうに飛び跳ねる。

「トモ、明日は勝手に秘密基地行ったら駄目だぞ?またあいつらいるかもだから」

泣かされたリーダーが、生意気な事を言ってみたりする。

「また来たら、私がやっつけてあげる!」

リーダーよりも頼もしい女の子が、元気よく言った。