「おかあさん・・・おねえちゃん・・・。」
部屋の扉を開けて知香子が入ってきた。
随分苦しそうだ。
先生と早織さんも知香子の方を向く。
「知香子、来ちゃ駄目!」
早織さん・・・どうして声を荒げるの?
滅多に聞かない早織さんの怒号に、
私はまるで背筋が凍ってしまったかのような感覚になった。
「さ、早織さん・・・?」
私の発した声が聞こえないように、智香子に駆け寄って諭すように言った。
「うつったら大変でしょう、風邪が。
お母さん後で行くから、お部屋で待ってなさい。」
「うん、おなかすいた・・・。」
「お部屋で少し待っててね、お姉ちゃんが後で行くよ。
美味しいもの持っていくから。
お母さんいいでしょ? 私があとはやるから。」
面談終わってないじゃない、と私が囁くとはっとした顔をして了解してくれた。
「さあ智香子、お姉ちゃんと行こう!」
「ふぁーい・・・。」


