魅惑の果実

翔は下手に踏み込んでこないから一緒にいて楽。


あーあ……こんなことで土曜日大丈夫かな。


家族と顔を合わせたら爆発しちゃいそう。


ペットボトルの蓋を開け、お茶を一口飲んだ。


それにしても暑い。


化粧が剥げそう。


日陰でもこの湿度はどうしようもない。


ベタベタするし、よけい苛つく。



「眉間に皺が寄ってるよ」

「そう? 気のせいでしょ」

「綺麗な顔に皺ができたら勿体無いよ」



眉間に手を当てた。


いつも皺寄ってるのかな?


だとしたら気をつけよう。


こういうところが分かりやすいのかもしれない。



「そろそろ戻ろっか」

「もういいの?」

「うん、ありがとう」



これ以上明日香を一人に出来ない。


健人のファンに目をつけられてないといいんだけど……。


立ち上がると翔に手を差し出された。



「繋いでくれないの?」

「もう繋がなぁい」



私たちは笑いながら体育館へ向かった。


もう心を許しちゃいけない。


私が本当に甘えたいのは桐生さんだから。