ゆっくりと目を開ければ、

真っ暗な世界が広がっていた。

どこだろう。

ふわふわと浮かんでいる自分になぜか

驚くわけもなく、ただただ辺りを見渡す。

『…私、どうしたんだっけ』

随分と長いあいだ、夢をみていた気がする。

薄ぼんやりと記憶の糸を辿れば、

やがて鮮明になる意識。

『そっか。私…』

爽をかばって撃たれたんだっけ。

てことは、ここは死後の世界なのかな。

ほんの少しだけ、寒いような感じがする。

太陽すらもないんだな。

そう思って見上げてみる。すると、

そこに一枚のドアがあることに気づいた。

ふと、下を見てみれば、同じドアがある。

そして、気づけば、暗闇のいたるところに

ドアがあって、思わず驚いた。