~爽 side~

──ガラッ

斎「調子はどう?美海の」

『お、やじ…』

入ってきた親父は、妙にニコニコとしている。

俺は黙って首をふった。

斎「…爽。いつまでも後悔しちゃダメだよ?」

『…分かってる』

分かってるけど…、でも

『でも、俺のせいで…』

俺を庇って美海は…。

ギュッと握りしめた美海の手は、

ひどく冷たい。

それが俺の不安を余計に煽った。

斎「爽」

真剣な、親父の声。

斎「お前は、美海の気持ちを

  無駄にすんのか?」

『…っ!?』

親父の雰囲気が変わる。

槙田財閥の社長じゃない。

裏の…槙田組の組長の顔だ。

斎「美海はなんでお前をかばった?

  大切だからじゃないのか?

  もし、お前らが逆の立場だったら、

  お前はどうしてた?」

んなの…

『なにがなんでも、庇ってやる』

そう言うと、フッと親父は笑った。

斎「…それだよ。

  美海もそうなんじゃないのか?」

あぁ…

『そうか…』