部屋の中で俺はずっと泣いていた。
子供の時は、気持ち悪いぐらい
千佳花にベッタリだった。
記憶もちゃんとあるんだ。
だけどもうあの時みたいに
ベッタリできる年齢じゃないし、
俺はもうあの嫌な過去を忘れたかった。
早く…早く忘れたくて…
千佳花から離れた。

「薫…。」

「なんで来たんですか。」

「鍵。閉め忘れただろ。
泥棒が入るぞ。」

「じゃあ出てって下さい。
今から閉めます。」

そう言っても千佳花は俺の側にいる。
いつもそうだ。

「薫。本当に会社辞めるのか?」
「当たり前ですよ。
上司2人は知ってる人だし、
皆ホモばっかで、
俺耐えられそうにないですから。」

これは本音。

「プラス…。俺が嫌いだからか?」

「そうですね。」

これは嘘。



自分でも気づいてる。
俺は千佳花の事が…












今でも好きなんだと思う。