誰かが入ってきた…。

それでも千佳花は話を続ける。
人がいる時ぐらい控えて欲しい。
なんだか恥ずかしいし…

「おいお前さ、まだ俺が好きなの?」
「はっ!?何言ってんですか!」
「お前の鞄に付いてるそれ…」

赤い首輪…そういやずっと付けてたっけ…

「もう好きじゃないです!
寧ろなんかちょっと嫌いです!」
「前は素直で可愛かったのにねー」
「煩いですね!ほっといて下さい!」

俺の初恋返して欲しい…

最後の夜に囁かれた言葉…

『お前は僕の所有物だ…』

Mだったのかな自分…
なんかその言葉にときめいたんだよね…
そんな事を思っていると頭上で声がした


「おお!千佳花!」
「利明…」
「新社員虐めるのやめろよ…
んで…君は?」
「あっ…先月からここの事務所で
働く事になりました…
綾瀬 薫と申します…」
「綾瀬…薫…?」
「はい、そうですけど」

なんだか…ピリピリした空気が流れて
俺はその場から逃げ出したくなった…