夕方、本来なら帰っていい時間帯。
俺はまだ、デスクの上のパソコンと格闘していた。

「おい。薫」
「…」
「おい。薫」
「…」
「…」
「あーもう!なんですか!?」
「なんでもない」

俺の中で何かがキレた。

「佐賀さん…あのー風邪移されたら
困るんで帰ってもらえます?
俺一人で出来るんで…」
「いやだ。薫と帰る。
それにお前一人じゃなんも出来ねーだろほらミスってる。」

千佳花が差した方には
何故か今の会話が打ち込んである。

「はぁあああああ!?」
「お前、パソコン不得意なの?
なのに俺の仕事引き受けて、
何がしたかったんだ?
俺の株下げたかったのか?」

千佳花の為を思ってやってたのに
そこまで言われると俺もヤケになって

「あーーーーもう!
そうですよ!株下げて俺が千佳花の位置に君臨しようと思ったんだよ!」
「やっと呼んでくれた…」
「はぁ!?」

怒っていた俺に千佳花は近づいて抱き締めた。

熱があるからか、体も熱くて
なんだかでっかいホッカイロみたいで
俺はすぐには離れられなかった。

心の何処かで、
懐かしいと思ってたのかもしれない。

「お前と…」
「?」


ガチャン…