俺はそそくさと荷物を纏めて
玄関に向かった。

「俺はお前を諦めない」
千佳花はそう言って、ドアを押した。

「あれ?佐賀さんは
行かないんですか?」
「俺が行かなくてもいい番組は出来る」

俺は後ろ髪を引かれる思いで
千佳花の家から出ると、
自分の家に戻り、着替えて
会社に向かう事にした。

ーーーーー

「あいつ…少しぐらい気づけよ…
ゴホッゴホッ!」

俺はそう言ってまだ薫の体温が残る
布団に潜った。

「布団全部あいつが持って行くからだ…
馬鹿薫…」

愛おしくて
会いたくて
恋しくて
もう会えないと思っていた薫を
また抱く事が出来た。


俺は熱が上がる前に、
ベッドに潜って眠った。